ディジタル (でぃじたる)

整数や有限一定の分母を持つ有理数のように、とびとびの値しか取らない離散量を「ディジタル」という。「デジタル」と書かれることも多い。

【参考】英語では digital と綴り、digit は指を意味するラテン語から来ている。「ひとつ、ふたつ、と指折り数えられるもの」ということであろう。

音声信号の場合は、時間と音圧(または電圧)が共に離散化される。

これに対して実数のような連続値を取る量はアナログという。

ディジタル回路を流れる現実のディジタル信号はアナログな電圧(または電流)であるが、ディジタル信号が本質的にとびとびの値しか取らない性質を活かし、混入した微小なアナログ・ノイズは容易に除去可能である (誤り訂正符号を用いると、さらに強力なノイズ除去が可能になる)。

デルタ関数 (でるたかんすう)

デルタ関数 \(\delta(x)\) は、大きさを持たない質点を表現するためにポール・ディラックによって導入されたもので、 \begin{eqnarray} \int_{-\infty}^{+\infty} f(x) \delta(x) dx &=& f(0) \label{delta} \end{eqnarray} という性質を持ち、ディジタル信号処理において連続時間信号と離散時間信号の橋渡しをする重要な存在である。

【参考】 \(\delta(x)\) は通常の意味の「関数」ではないが、後にローラン・シュワルツの「超関数」により数学的正当性の裏付けが得られた。
【参考】 クロネッカーのデルタ \(\delta_{ij}\) と紛らわしいので、「ディラックのデルタ関数」と呼ばれることも多い。
【参考】 式(\ref{delta})の右辺が \(f(0)\) になるには \begin{eqnarray} \delta(x) &=& 0,\quad x\neq 0 \label{delta2} \end{eqnarray} でなければならず (そうでないと \(f(0)\) 以外の値が混入してしまう)、かつ、式(\ref{delta})で \(f(x)=1\) とすれば次式が成り立たねばならない。 \begin{eqnarray} \int_{-\infty}^{+\infty} \delta(x) dx &=& 1 \label{delta3} \end{eqnarray} 式(\ref{delta2}),式(\ref{delta3})は、\(\delta(x)\) に台の幅 0 で面積 1 であることを要求しているので、 \begin{eqnarray} \delta(0) &=& \infty \end{eqnarray} とならざるをえない (幅が 0 であるため、\(|\delta(0)|\lt\infty\) では積分が 0 になってしまう)。

幅 0 で面積 1 であるためには \(\delta(0)=\infty\) にならざるをえない

このため \(\delta(x)\) はうまくグラフに描けないので、次図のように直立した矢印で表現されることが多い。

「↑」は、無限に上まで伸びていることを表している

伝達関数 (でんたつかんすう)

線形時不変な通常のフィルタのインパルス応答を複素周波数領域で表したものを「伝達関数」という。

因果的連続時間システムでは、インパルス応答 \(h(t)\) のラプラス変換 \begin{eqnarray} H(s) &=& \int_0^\infty h(t) e^{-st} dt,\quad s\in \mathbb{C} \label{Hs} \end{eqnarray} 因果的な離散時間システムでは、インパルス応答 \(h(n)\) の z 変換 \begin{eqnarray} H(z) &=& \sum_{n=0}^\infty h(n) z^{-n},\quad z\in \mathbb{C} \label{Hz} \end{eqnarray} により計算でき、結果は多項式または有理式の形になる。

連続時間では、伝達関数 \(H(s)\) のフィルタに信号 \(X(s)\) を入力した時のフィルタ出力 \(Y(s)\) は \begin{eqnarray} Y(s) &=& H(s) X(s) \end{eqnarray} のように \(H(s)\) と \(X(s)\) の積の形にできる。離散時間も同様で \begin{eqnarray} Y(z) &=& H(z) X(z) \end{eqnarray} のように積の形にできる。