ノイズ (のいず)

望ましくない成分のこと。

音の場合、聴きたくない音はノイズということになるが、何がノイズで何がノイズでないかは人によって異なるうえ、同じ人であってもシチュエーションによってもノイズと感じたり感じなかったりする。

測定においてノイズは邪魔者だが、測定にノイズを使用する場合もあり、対象とする周波数全域で Hz あたりのパワーの期待値が等しい「ホワイト・ノイズ」と、オクターブあたりのパワーの期待値が等しい「ピンク・ノイズ」がよく用いられる。

量子化幅に対して十分大きな振幅を持ち、十分複雑な波形を A/D 変換した際に生じる量子化誤差は、ほぼ一様分布のホワイト・ノイズと見なせるが、振幅が小さかったり正弦波のように単調な波形に対しては量子化誤差成分がホワイトにはならず、聴くと再生音に歪が付加されたように知覚される。

乱数や擬似乱数は再生すると「サー」というホワイトノイズに聞こえるため、産業上有用であっても「ノイズ」と呼ばれている。

ノルム (のるむ)

ベクトル $\boldsymbol{x}, \boldsymbol{y}$ とスカラ $\alpha$ に対して以下の 3 つが成り立つ $\|\cdot\|$ をノルムという。

  • $\|\boldsymbol{x}\|=0 \Leftrightarrow \boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}$
  • $\|\boldsymbol{x}+\boldsymbol{y}\| \leq \|\boldsymbol{x}\|+\|\boldsymbol{y}\|$
  • $\|\alpha \boldsymbol{x}\| = |\alpha| \|\boldsymbol{x}\|$

ノルムは「長さ」を一般化した量で、任意次元のベクトルや行列で統一的に成り立つ定義が各種提案されている。

よく使われるのは、ベクトル $\boldsymbol{x}=(x_0, x_1, x_2, \cdots x_{N-1})^\top$ に対する以下の $L_1, L_2, L_\infty$ ノルムである。 \begin{eqnarray} L_1 ノルム &:& \|\boldsymbol{x}\|_1 &\triangleq& \sum_{n=0}^{N-1} |x_n| \\ L_2 ノルム &:& \|\boldsymbol{x}\|_2 &\triangleq& \sqrt{\sum_{n=0}^{N-1} x_n^2} \\ L_\infty ノルム &:& \|\boldsymbol{x}\|_\infty &\triangleq& \max_{0\leq n\lt N} |x_n| \end{eqnarray}

最も使用頻度が高いのは $L_2$ ノルムで、 Euclid ユークリッド ノルムともいう。

$\boldsymbol{x}$ のノルムは、2 重線で囲った $\|\boldsymbol{x}\|$ にノルムの種類を表す $1,2,\infty$ 等を添えて表すことが多いが、添字が省略されている場合は $L_2$ と考えてよい。

文献によっては $|x|$ のようにスカラの絶対値と紛らわしい表記がされていることもあり、このような場合は、前後の文脈で考える必要がある。