フィルタ (ふぃるた)

空気中のゴミやほこりを取り除いてきれいな空気だけを通すエアコンのフィルタ同様、不要な周波数成分を取り除き、望ましい周波数成分だけを通過させる電気/電子回路のこと。

更に通過するか否かではなく、周波数毎に、どの程度通過させるか/阻止するかを自由に指定できるフィルタもあり、フィルタの特性は伝達関数または周波数特性によって表すことができる。

アナログ回路によるアナログ・フィルタとディジタル回路によるディジタル・フィルタに大別できるが、近年は計算デバイスの高速化により、ソフトウェアだけでフィルタ作用を実現することも可能になっている。

複素共役 (ふくそきょうやく)

複素数 \(z=x+i y,\ x,y\in\mathbb{R}\) に対する \(x-i y\) を \(z\) の複素共役といい、\(z^*\) で表す。

以下の性質はよく用いられる。 \begin{eqnarray} z z^* &=& |z|^2 \end{eqnarray}

【参考】 複素数 \(z\) が実係数多項式の根であるならば、その複素共役 \(z^*\) も根である。

複素周波数 (ふくそしゅうはすう)

周波数を複素数に拡張したもので、実部が増大の速さ、虚部が周波数を表す。

フーリエ級数 (ふーりえきゅうすう)

\(\cos(k x),\ \sin(k x),\ k=0,1,2,\cdots\) によって表される級数のこと。 \begin{eqnarray} f(x) &=& \frac{a_0}{2} + \sum_{k=1}^\infty a_k \cos(k x) + b_k \sin(k x) \end{eqnarray}

\(\cos,\ \sin\) の代わりに \(e^{ikx}\) を用いたバージョンもある。 \begin{eqnarray} f(x) &=& \sum_{k=-\infty}^{+\infty} c_k e^{ikx} \end{eqnarray}

\(a_k, b_k, c_k\) をフーリエ係数という。

フーリエ級数展開 (ふーりえきゅうすうてんかい)

周期関数 \(f(x)\) を \(\cos(k x),\ \sin(k x), k=0,1,2,\cdots\) の重み付け和で表現すること、および、その重み係数を計算する方法のこと。

\(f(x)\) の周期を \(2\pi\) とした場合、\(f(x)\) は次のように表現できる。 \begin{eqnarray} f(x) &\simeq& \frac{a_0}{2} + \sum_{k=1}^\infty a_k \cos(k x) + b_k \sin(k x),\\ && a_k = \frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{+\pi} f(x) \cos(k x) dx \label{ak}\\ && b_k = \frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{+\pi} f(x) \sin(k x) dx \label{bk} \end{eqnarray} 式(\ref{ak}), 式(\ref{bk}) のように簡単な計算で重み係数 \(a_k,b_k\) を決定できるのは、\(\{\displaystyle\frac{1}{2}, \cos x, \sin x, \cos 2x, \sin 2x, \cos 3x, \sin 3x, \cdots\}\) が直交基底を構成していることによる。

【参考】 フーリエ (Joseph Fourier) がフーリエ級数展開に至った道筋は、岩波講座 現代数学への入門 第5巻「現代数学への流れ 1」p18~21 に書かれている。
【参考】 倍音列からなる自然楽器音の一部だけを切り出してフーリエ級数展開して再合成しても、自然な楽器音は得られない。各倍音の揺らぎが失われてしまうためである。

フーリエ変換 (ふーりえへんかん)

\(e^{-i\omega t}\) を積分核とする積分変換のひとつ。

連続時間 \(t\in \mathbb{R}\) 上の信号を角周波数 \(\omega\in \mathbb{R}\) 上のスペクトルに変換するもの。

本サイトでは \({\cal F}[\ \cdot\ ]\) によってフーリエ変換を、 \({\cal F}^{-1}[\ \cdot\ ]\) によってフーリエ逆変換を表す。

\begin{eqnarray} {\cal F}[x(t)] &=& X(\omega)\ =\ \int_{-\infty}^{+\infty} x(t) e^{-i\omega t} dt \\ {\cal F}^{-1}[X(\omega)] &=& x(t)\ =\ \frac{1}{2\pi}\int_{-\infty}^{+\infty} X(\omega) e^{+i\omega t} d\omega \end{eqnarray}

フーリエ変換は、時間領域での波形同士の畳み込み積分を、周波数領域でのスペクトル同士の積に変換できるなど、有用な性質を多数持つ。 \begin{equation} {\cal F}\left[\int_{-\infty}^{+\infty} h(\tau)x(t-\tau) d\tau\right] = {\cal F}[h(t)] \cdot {\cal F}[x(t)] \end{equation}

ブロック図 (ぶろっくず)

システムを構成する個々の要素と、それら要素間の繋がりを、簡略化された図形の接続により解り易く表現したもの。


ブロック図の例 (FIR)

【参考】 ブロック図の描き方