三角波のフーリエ級数

三角波をフーリエ級数で表します

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円周率を導く

円周率を求める式を導きます

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計算してみる

本当に円周率になるの?

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三角波で円周率 \(\pi\) を求める

三角波のフーリエ級数から円周率を計算する式
\begin{eqnarray} \pi &=& \sqrt{\frac{8}{1^2} + \frac{8}{3^2} + \frac{8}{5^2} + \frac{8}{7^2} + \cdots} \nonumber \end{eqnarray} を導きます。

三角波のフーリエ級数展開(図は3倍音までの部分和)

三角波のフーリエ級数

周期 \(2\pi\) の三角波を \(f(x)\) と書き、\(\pm\pi\) の範囲で次のように表すことにします。 \begin{eqnarray} f(x) = |x|,\ |x|\leq\pi\\ \label{fx} \end{eqnarray} \(f(x)\) は区分的に滑らかな連続関数であり、偶関数ですから、フーリエ級数展開すると \begin{eqnarray} f(x) &=& a_0 + \sum_{n=1}^\infty a_n\cos(n x) \label{Fourier} \end{eqnarray} と表わせ(一様収束)、直流分は \(a_0=\displaystyle\frac{\pi}{2}\) かつ \begin{eqnarray} a_n &=& \frac{1}{\pi}\int_{-\pi}^{+\pi} f(x) \cos(nx) dx \\ & & f(x) と \cos(nx) は共に偶関数だから \nonumber\\ &=& \frac{2}{\pi} \int_0^\pi x \cos(nx) dx \\ &=& \frac{2}{n^2 \pi} \left\{\cos(n \pi)-1\right\} \\ &=& \left\{ \begin{array}{cc} -\displaystyle\frac{4}{n^2\pi},& n=1,3,5,7,\cdots\\ 0,& n=2,4,6,8,\cdots \end{array} \right. \end{eqnarray} 三角波は奇数倍音 \(n=1,3,5,7,\cdots\) しか持たないので、\(n=2k-1\) とすれば式(\ref{Fourier})は次のように書けます。 \begin{eqnarray} f(x) &=& \frac{1}{2}\pi - \sum_{k=1}^\infty \displaystyle\frac{4}{(2k-1)^2\pi}\cos\{(2k-1)x\} \\ &=& \frac{1}{2}\pi - \frac{4}{\pi} \left\{ \cos(x) + \frac{1}{3^2}\cos(3x) + \frac{1}{5^2}\cos(5x) + \frac{1}{7^2}\cos(7x)+ \cdots \right\} \label{rectangle} \end{eqnarray}

円周率を導く

式(\ref{rectangle})に \(x=\pi\) を代入すると \begin{eqnarray} \pi &=& \frac{1}{2}\pi - \frac{4}{\pi} \left\{ \cos(\pi) + \frac{1}{3^2}\cos(3\pi) + \frac{1}{5^2}\cos(5\pi) + \frac{1}{7^2}\cos(7\pi)+ \cdots \right\} \\ &=& \frac{1}{2}\pi + \frac{4}{\pi} \left( 1 + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \frac{1}{7^2} + \cdots \right) \end{eqnarray} 両辺から \(\displaystyle\frac{1}{2}\pi\) を引いて \begin{eqnarray} \frac{1}{2}\pi &=& \frac{4}{\pi} \left( 1 + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \frac{1}{7^2} + \cdots \right) \end{eqnarray} 両辺に \(2\pi\) を掛けて \begin{eqnarray} \pi^2 &=& 8 \left( 1 + \frac{1}{3^2} + \frac{1}{5^2} + \frac{1}{7^2} + \cdots \right) \label{pi} \end{eqnarray} 両辺の平方根を取って少し書き直すと \begin{eqnarray} \pi &=& \sqrt{\frac{8}{1^2} + \frac{8}{3^2} + \frac{8}{5^2} + \frac{8}{7^2} + \cdots} \label{tri} \end{eqnarray} が得られます。

計算してみる

下表は式(\ref{tri})の第 \(N\) 項までの部分和から円周率の近似値 \begin{eqnarray} p_N &=& \sqrt{\frac{8}{1^2} + \frac{8}{3^2} + \frac{8}{5^2} + \frac{8}{7^2} + \cdots + \frac{8}{(2N-1)^2} } \end{eqnarray} を計算したものです (正しい円周率は 3.14159265358979… であり、表の赤字部分は正しくありません)。

項数 \(N\) 近似値 \(p_N\) 正しい桁数
1 2.828427125 なし
10 3.109625458 2桁
100 3.138407967 2桁
1,000 3.141274328 4桁
10,000 3.141560822 5桁
100,000 3.141589470 5桁
1,000,000 3.141592335 7桁

項数 \(N\) を増やすに従って \(p_N\) が円周率に近づいてゆく様子がわかります。

分数の分母が \(1^2, 3^2, 5^2, 7^2, \cdots\) と 2 乗で大きくなってゆくので、もう少し速く収束するかなと思ったのですが、平方根を取ると有効桁数(?)が半分になってしまうため、収束はグレゴリー・ライプニッツの公式より少し速い程度でした。

関連項目