エイリアシング (えいりあしんぐ)

アナログ信号をサンプリング周波数 $F_s$ でサンプリングしてディジタル信号に変換した場合に、$F_s/2$ 以上の周波数成分を正しくアナログ信号に復元できなくなる現象をエイリアシング (aliasing) という。 日本語では「折り返し」または「 異名 いみょう 現象」という。

アナログ信号に含まれる $F_s/2$ 以上の周波数成分は、エイリアシングにより $0\leq f\leq F_s/2$ の帯域内に折り返してしまい、先験的情報無しには除去不能なエイリアシング・ノイズとなる。

【参考】蛍光灯の下で扇風機の羽根が逆回転しているように見えることがあるのも、エイリアシングによる現象である。
【参考】 $F_s/2$ をナイキスト周波数という。
【注意】周波数 $F_s/2$ の成分は、$\cos$ 成分のみ復元可能で、$\sin$ 成分は失われてしまう。

エイリアシングを防止するには、ナイキスト周波数以上を遮断する低域通過フィルタ (アンチエイリアシング・フィルタ) を使用する。

エイリアシングは、アナログ信号をディジタル信号に変換する時だけでなく、ディジタル信号を直線補間などで簡易的に (異なるサンプリング周波数で) 再サンプリングした時にも発生する。

エイリアシング・ノイズ (えいりあしんぐ・のいず)

ナイキスト周波数 $f_N$ [Hz] 以上の周波数成分を持つ信号をサンプリングすると、$f_N$ 以上の周波数成分が $f=0$ (直流) から $f_N$ の間に蛇腹のように折りたたまれて移動混入してしまうノイズのこと。 日本語では「折り返し雑音」という。

事前にアンチエイリアシング・フィルタと呼ばれる LPF を掛けることで防止できる。

【参考】エイリアシング成分が残っている方が音が明るく聴こえるため、音楽/楽器分野ではエイリアシング・ノイズを完全に除去せず、意図的に残す場合もある。

エフェクタ (えふぇくた)

音響分野では、音に変化を与える装置やプログラムのうち、単純に音の大きさを変えるだけの「アンプ」を除いたものを総称してエフェクタ (Effector) と呼ぶ。

音色を加工するイコライザ、ダイナミクスを圧縮するコンプレッサ、残響を付加するリバーブをはじめ、多様なエフェクタが存在する。

エルミート行列 (えるみーとぎょうれつ)

エルミート転置した行列 $\boldsymbol{A}^H=(a_{ji}^*)$ が元の行列 $\boldsymbol{A}=(a_{ij})$ と等しいものをエルミート行列という。

エルミート転置 (えるみーとてんち)

行列を転置して各要素の複素共役を取ること、または取った結果をエルミート転置という。

行列 $\boldsymbol{A}=(a_{ij})$ のエルミート転置は $\boldsymbol{A}^H=(a_{ji}^*)$ と表される。

【注意】 エルミート転置を $\boldsymbol{A}^*$ や $\boldsymbol{A}^{\dagger}$ と表記する流儀もある。

円周率 (えんしゅうりつ)

様々な分野に現れる重要な数学定数で、円の周長の直径に対する比のこと。現代ではギリシャ小文字の $\pi$ (パイ) で表される。

【参考】 円周率は、具体的に書き出すと \begin{eqnarray} \pi &=& 3.14159265358979323846264338327950288419716939937510\\ &&\quad 58209749445923078164062862089986280348253421170679\nonumber\\ &&\quad 82148086513282306647093844609550582231725359408128\nonumber\\ &&\quad 48111745028410270193852110555964462294895493038196\cdots\nonumber \end{eqnarray} のように、繰り返すことなく無限に続く値を持つ無理数であるばかりか、いかなる代数方程式の解としても表せない超越数でもある。
【参考】 三角関数 $\cos, \sin$ は周期 $2\pi$、$\tan$ は周期 $\pi$ を持つ。 \begin{eqnarray} \cos(x+2\pi)&=&\cos(x) \\ \sin(x+2\pi)&=&\sin(x) \\ \tan(x+\pi)&=&\tan(x) \end{eqnarray}
【参考】 三角波で円周率を求める
矩形波で円周率 π を求める
多角形の面積で円周率を求める